「DESIGNART TOKYO 2024」レポート【デザインウィーク関連企画①】 | 原田優輝+山田泰巨
「デザインの手前」は、デザインに関わる編集者2人が、さまざまなクリエイターをお招きし、デザインの本質的な価値や可能性についてお話しするトークプログラムです。ニュースレターでは、最新エピソードの内容をテキスト化してお届けしています。今週から秋のデザインウィーク関連企画がスタート。初回は、10月下旬に開催されたDESIGNART TOKYO 2024についてパーソナリティの2人がレポートします。
8年目を迎えたDESIGNART TOKYO
原田:先週までデザインイノベーションファーム・Takramのシリーズ企画をやってきましたが、今週は僕と山田さん2人でお届けしたいと思います。
いまこれを収録してるのが10月25日、東京なのですが、秋の東京は色んなデザイン関係のイベントや展示が多くなる時期です。ということもあって、今週から数回にわたって秋のデザインウィーク関連の企画をお届けしていきます。
山田:振り返りをしていくというところですかね。
原田:そうですね。その1回目として、10月18日から27日まで東京各所で開催されていた「DESIGNART TOKYO 2024」を僕と山田さんで色々まわってきましたという話をしたいと思います。DESIGNART は2017年から毎年開催されていて、今年でもう8年目になるんですよね。山田さんは毎年まわられています?
山田:そうですね。会期によっては海外出張などで全然見れなかった年もなくはないのですが、基本的に気になるものは見てまわるようにしています。全部をまわるというのはとてもじゃないけど難しいですよね。
原田:そうですね。今年も表参道、渋谷、原宿、六本木、銀座など色々なエリアで90以上の展示があったようなので、これを全部回っていくというのは難しいですよね。今回は、僕と山田さんで目星をつけつつ回ってきたものがあるので、それぞれ気になった展示やそこで出会ったデザイナーさんの話なんかをしていきたいと思います。
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デザインイノベーションファーム・Takramのメンバーが週替りで登場する全5回のシリーズ企画を振り返る記事をnoteに公開しました。こちらもぜひご覧ください!
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原田:先週まで出て頂いていたTakramの展示も千駄ヶ谷のSASというイベントスペースでやっていたので行ってきました。「Takramのプロダクトデザインとその裏側」というタイトルの通り、プロダクトデザインに特化した展示で、Takramがこれまでにつくってきたハサミやカメラのレンズ、オフィスチェアなどが紹介されていました。Takramと聞いてあまりこういったプロダクト群というのは最初に思い浮かぶものではないですが、実は結構色々つくっているんですよね。実際に完成したものももちろん展示されているのですが、やはり面白かったのはその背景にあるデザインプロセスがわかるようなスケッチやプロトタイプでした。これらが6作品それぞれにあったので、全部をしっかり見るには1時間以上かかるような感じで、僕もザーッとしか見られなかったのですが、とても見応えがありました。デザインのプロセスにおけるリサーチからコンセプトをつくってプロトタイピングをしてという積み上げを当然ながら丹念にやられていて、それがクオリティにつながっているということを改めて実感できた展示でした。
山田:Takramとしては、結構珍しい展示内容なんじゃないかなという気が。
原田:そうですね。Takramとしてこうした仕事をやっていることを外に発信していくという意識も結構あったのかなと思いました。実はTakramは内部にキャリアのあるプロダクトデザイナーが結構いるんですよね。
山田:そうですね。もともと個人で活躍されている方がTakramにジョインされている部分もあるので、実はかなりプロダクトが強いんですよね。
原田:Takramのメンバーのある種の層の厚さや多様性が感じられる良い展示でした。
若手インハウスデザイナーの取り組み
山田:今年は、企業でインハウスデザイナーとして働きながら、個人の作品として発表されている展示が目立っていると感じました。これは単純に社会の変化もあると思うのですが、なかなかいまは個人で若い段階から独立してやっていくことがかなり難しい時代ではあるのかなというところもあるし、企業でしっかりとモノをつくりながら、自分自身の活動も見据えてやっていくというところで、社会的背景や生産のプロセスなどをかなりしっかり考えられているような展示がいくつかありました。
そのひとつが、NOMADIC COLLECTIVEというコクヨに所属している4人の若手デザイナーが自分の考えを発表されている展示をやられていて、南青山の「リノべる。」というリノベーションの不動産会社の地下1Fを使って展示をされていて、非常に面白いなと思いました。四者四様のアプローチで、それぞれに自分の考え方というのを、変に統一感を出さずに、自分たちがやりたいことをやっているところも好感が持てました。
原田:今回展示をされていたのは、福島拓真さん、品川 及さん、笠松祥平さん、前田 怜右馬さんの4名のデザイナーで、DESINGARTは昨年に続いて2回目の展示だったそうです。山田さんが仰っているようにそれぞれ全然扱っている素材やつくっているものは別で、これはユニットなのかどうかというその関係性も面白いなと。同じ会社に勤めているインハウスデザイナーで、チームとしてやっているけれど、つくっているものは別で、でもよく見ていくとアプローチに共通点があって。普段量産品をつくっているということもあってか、量産品における作法や制約みたいなものをある種ハックしながら、オリジナルのものをつくっていくアプローチが共通していて面白いなという印象を受けました。彼らがこういう活動をどういうモチベーションでやっているのか、この先に独立を考えているのかなどを思ったりもしましたし、会場にデザイナーの方もいらっしゃったので色々お話も伺えて面白かったですね。
山田:もうひとつは、TIERS GALLERYという荒川技研工業が運営されているギャラリーで。
原田:場所は表参道になるんですかね。ちょうど原宿との間くらいですね。
山田:ルイ・ヴィトンの裏あたりなのですが、ここは毎年DESIGNART TOKYOの会場のひとつになっていて、若手のグループ展をよくやられている印象があって、毎回凄く良い展示をされています。今回は4組のデザイナーが展示されていて、何人かのグループで出されている方もいれば、個人でやられている方もいてそこにも幅広さがあるのですが、今年僕が面白いと思ったのはHOJO AKIRAさんという方です。彼も企業に勤めながら個人の活動もされています。
アルミのフレームとマットレスに使う発泡の樹脂の材を座面に使っているソファです。ソファというのは座り心地を担保するために複層的に材を組み合わせないといけないので非常にリサイクルが難しい素材なんですよね。それを単一素材でソファのような座り心地を担保するにはどうしたらいいかということを考えてやっていると。実際にはソファというよりはベンチみたいな感じかなと思うのですが、腰掛も低くついていて、ソファのようなルーズな感じにはならないと思うのですが、ある種の座り心地を担保して座ることができるというものでした。
原田:アルミの椅子のフレームがあって、その上にクッションが置かれているだけで、ある種造形や意匠といったいわゆるデザイン的な部分を放棄をしているというか、排除しているように感じられて、そこにある種の潔さというのを感じました。機能性はしっかり担保されていて、座りやすくするための色んな配慮がされているのですが、どちらかというと再利用や再生することが前提になっていて、ペットボトルのように回収できるようにつくられていて、この辺にも企業で量産品を日々つくっているデザイナーならではの視点が感じられるし、受け手側に「ソファって別にこういう佇まいでもいいでしょ?」という投げかているようにも感じました。ソファというのはもっと色々なものにくるまれていて、造形的なデザインが施されているものだという前提が刷り込まれていますが、そうじゃなくてもいいよねというところをここまでシンプルに提示されると、「たしかにそういう考え方はあるよな」と思ったりして、さらに、「デザインって何だっけ?」みたいなことも考えられるような展示だったなと。
NOMADIC COLLECTIVEやHOJOさんの作品を見ていると、インハウスデザイナーならではの視点や創造性があるんだなということを感じましたね。
山田:他にも川本真也さんやPULSEという3人のユニット、FARM AND BUILDというデザイナー2人組の展示がされていました。個人的にはFARM AND BUILDも凄く良いなと思いましたし、他も含めて非常に面白いなと感じました。
サステナビリティに関する展示
原田:いまやサステナビリティというものが当たり前というか、それが前提になっている展示がとても多かったですね。DESIGNARTには大手のメーカーや企業も出展されていますが、そういうところにとってはこうしたイベントごとがサステナビリティに対する取り組みをメッセージとして発信する場にもなっていますよね。それ自体は全然否定しないですが、どうしてもその手段がイベントのためだけにやられているようなものも結構あるなと。常套手段的なものとしては、廃棄物を使ってこういうものをつくりましたというものがあって、どちらかというとアートピースに近いような、量産前提ではなく、イベントのためにつくったものもあって、メッセージを発信する上でのプレゼンテーションとしては成立しているけれど、本当にサステナビリティを考えていくのであれば、それこそHOJOさんがやられているような、循環のあり方やプロダクトの素材、構造自体を再設計していくようなことも必要だなと改めて感じました。
その点、僕が見た展示ではISSEY MIYAKE GINZAで行われていた130というブランドの新作展示は、HOJOさんのやられていることにも通じるところがあるように思います。これは、ISSEY MIYAKEとマグナレクタというデザインやエンジニアリング、3Dプリンティングなどを色々やっているチームが共同で開発をしてきているものです。棒状のフレームだけで立体を造形していくような技術で、いわゆるモノマテリアル、単一の素材で構成されているので、色んなものをつくって用途を終えたら分解して再素材化ができるというものです。そういうモノのつくり方の発明的なことをしている取り組みで、これまではイッセイミヤケのマネキンや、直近だと21_21 DESINGSIGHTで行われていた『未来のかけら』展でもマネキンが展示されていました。今回初めてプロダクトとして、テーブルとチェア、照明が発表されていました。
山田:これは、ISSEY MIYAKEの中でもA-POC ABLEという宮前義之さんがメインで動かしているブランドで、横尾忠則さんとやったコラボレーションのラインなどでかなりアクティブな動きをしたマネキンをマグナレクタとつくっていて、その造形自体も非常にユニークなものなのですが、グレーチングのような表情のグリッドパターンで家具をつくっていて、展示品の中には実際に座れるスツールタイプのものもあったので、強度は担保されているんだろうと。集積されると霧のように見えて表情にも奥行きが出てくるんですよね。
原田:視覚的にも面白いですよね。
山田:そうですね。特に照明が面白いと思ったのですが、どうやってリターナブルにするのかというのか、単一素材によるものだからこそできるというところで、今回はプレゼンテーションなので、耐久性であったり物性がどうなっていくのかというところは、いまの段階は議題に上がる部分ではないと思うのですが、今後こういったものが生活の中にどう入っていくのかという可能性を展示するという意味では面白いプロジェクトだと思いました。
原田:ISSEY MIYAKEという世界的に著名で影響力があるファッションブランドが試験的にでもこういう取り組みを始めていくことには凄く意義があることだと思います。影響力があるメーカーや事業者がこういう取り組みと向き合って、具体的な方法論を出していくということは大事だと思います。
それで言うと、今回はトヨタもサステナビリティに関連する展示をしていて、僕も行こうと思ったのですが会期が凄く短くて終わってしまっていました。山田さんが行かれたということだったので、この話もしていただけますか?
山田:そうですね。やはり再生や環境に関連する取り組みをするという点で、日本で最も意味があるメーカーはおそらくトヨタなんですよね。車というのは凄く複雑な素材のコンビネーションでできていますし、日本が誇る世界の企業ですからね。彼らがガラスという素材に目を向けて、それをどういう風にコントロールしているのか、またはコントロールできるのかという展示をやっていました。トヨタという会社のマテリアルの研究を展示されていて、そのプレゼンテーションにTAKT PROJECTが会場構成という形で協力をしていました。
素材というテーマは近年国際的にも非常に重要視されているのですが、ただマテリアルをドンと置いてもしようがなくて、そこに人の感情を揺さぶるエモーショナルな要素がないといけないのですが、エモーショナルに寄り過ぎると何のための展示なのかということにもなってしまう。そのさじ加減や奥行きみたいなものが非常に重要だと思っていて、やはりその辺のプレゼンテーションがTAKTの吉泉(聡)さんはお上手だなと。
原田:展示されていたもの自体は、トヨタが車をつくる工程で使っていて、廃棄されたりするようなものが色々ガラスに閉じ込められているような感じだったのですか?
山田:閉じ込めたものもあるし、ガラスそのものを再生するためにチップにしている状態のガラスなども展示されていました。例えば、ちょっと緑がかった紫外線を防止するためのガラスなどをどういう風に再生するのかということを、解体されたパーツと、その下に粉砕したようなガラスのマテリアルの状態などを見せたりもしていました。あとは、加工方法みたいなもので何かを封入するような物質の展示なんかもされていました。
原田:展示の目的を見ると、「まずは事実を知ってもらう」「等身大で感じてもらう」といった旨が書かれていたところから推測するに、先ほど紹介した130、イッセイミヤケの取り組みが具体的な方法論を示していたことに対して、こちらはどちらかというとその前段階で、それこそ「手前」にある実態を伝えるということをしていて、その時にはやはり見せ方が凄く重要になってきますよね。プレゼンテーションをいかに魅力的にするかというところが知ってもらうということに直結するので、割とそこに比重が置かれていた展示だったのかなということも想像しました。
山田:それをご覧になられた方々が、例えば業種業態が異なるメーカーが一緒に何かをする可能性があるのかどうかを考えることができる。トヨタは業界のリーディングカンパニーなので、そうした知恵の共有みたいなことも今後されていくとより面白いのかなというところもあるし、それをトヨタのようなメーカーがやってくれるということは凄く大きな意義のあることだなと思います。
プレゼンテーションの重要性
原田:サステナビリティやサーキュレーションといったテーマをどのように見せるのかという話では、日比谷OKUROJIで開催されていたHONOKAとアクアクララというウォーターサーバーの会社がコラボレーションしていた展示も近いところがあるように思います。これは、アクラクララの使用済みボトルをどう再利用していくのかというところで、粉砕したボトルを建材のような新しい使い方ができないかという提案だったのですが、まず会場に入って印象的なのは青の色で、凄く美しい展示になっていました。HONOKAはご存じの方もいらっしゃると思いますが、近年注目されているデザインラボで、有志のプロダクトデザイナーが集まっているのですが、2023年のミラノデザインウィークでは、若手の登竜門である「サローネサテリテ」でグランプリを受賞しています。
山田:HONOKAは6名5組のデザイナーによる集団で、3Dプリンタは駆使しながらものをつくっている印象があるのですが、去年はイグサというものをテーマに再生樹脂の中に練り込みながら、新しいイグサの可能性を追いかけるということをやっていたのですが、今回はウォーターサーバーボトルで、これがポリカーボネート製なんですよね。ポリカーボネートを再生しながらパネルをつくっていくという展示をされていて、やはり水のメーカーなのでそれを伝えるために非常に青の美しい空間をつくっていました。あとは、パネルそれぞれに個体差をつくっていくということをやられていたのですが、これはかなり手作業に近い部分があるのかなと。プレゼンテーションとしては凄く良かったのですが、実際にパネル化する、製品化するというところになると、個体差みたいなものがなかなか再現性が難しくなってくるので、その辺はプレゼンテーションと割り切っていくところなのかなと思いました。
原田:実際に効率性を高めて使えるようにしていく、こういう考え方を社会実装していくというところで多分もう一段階必要になるんでしょうね。
山田:そうですね。再生性であったり、これをどう次に使っていくのかみたいなところはこれから考えながらデザインしないといけない部分なのかなと思いました。
原田:そういう意味では、色々な人が集まるDESIGNARTのようなイベントでまずはプレゼンテーションをして、そこでおそらく色々なフィードバックがあると思うので、それらも踏まえてどうしていくのかというところに今後も注目という感じですね。
デザイナーによる自主的な企画展示
原田:この時期はDESIGNARTだけではなく、色々な場所で展示が行われていて、僕も表参道近辺を回っている時に足を伸ばしたのが、山田さんにお勧めいただいた杖の展示で、Karimoku Commons Tokyoという、これ場所はどこになると言えばいいんでしょうか。
山田:西麻布というか根津美術館の裏側といった辺りですよね。
原田:これは10月12日から27日まで行われていた展示で、残念ながら会期は終わってしまっているのですが、武内経至さんという方が企画・キュレーションされていて、国内外の著名なデザイナー18組がそれぞれの考える杖というものをつくって展示されていました。もともとはミラノで展示されていて、それが今回東京にも来るということを山田さんに伺って行ってきました。
山田:武内さんはイタリア・ミラノをベースに活動されている方なので、凱旋展とは言えないというか、あくまでもミラノをベースにしている方だからできた展示でもあるのかなと思います。ミラノ・トリエンナーレというデザインウィークの時期には誰もが訪れるような場所で、世界的にも非常に重要なデザインミュージアムの一つで開催されていて、今年のミラノで非常に話題になっていました。
杖というのは高齢者が持つモノというイメージがあると思うのですが、18組のデザイナーは非常に幅広いバックグラウンドで、若い人もいればご高齢の方もいて、暮らしているエリアも多様で、北側の人だと有名なところで言うとセシリエ・マンツも出ています。ジャスパー・モリソンなんかも出ていましたし、色々な人が杖というタイポロジーの中で自分だったら何をデザインするのかと。そもそも棒きれみたいなものがあれば杖になるので、おそらく凄く古い時代から杖というのは人間が自分の体を支えるものとして使っていたであろうことは容易に想像がつくのですが、それをデザインという観点でどうするのかというところで、18組それぞれまったく違う考え方が出ていました。これは誰かに頼まれてやっているプロジェクトではなく、デザイナーが自発的に考えたものであり、武内さんに賛同した交流のあるデザイナーたちが参加されていて、今回のタイミングでかなり来日もされていました。
原田:トークイベントにも色々なデザイナーが参加されていたみたいですね。
山田:そうですね。イタリア文化会館でトークイベントがあって、僕はその日別のトークの司会をしていたので残念ながら足を運べなかったのですが。必ずしも誰かに依頼されてデザインをするだけではなく、社会的な課題などに対して自発的に考えを深めていくというのはデザイナーに求められることで、日本のデザインウィークが少し弱い部分というのはまさにここなのかなと。製品化を見据えたものづくりを自主的なプロジェクトとしてやることはあるのですが、社会との接点をもう少し違うやり方で考えていくというか。デザインウィークの時期のミラノに足を運ぶと、デザイナーの自主的な企画というのは結構色々あって、それが現地では大きな話題を呼んでいることもあるんですね。それがなかなか東京や日本には届かない部分があるので、今回東京のデザインウィークのタイミングでこうした展示がされたことは非常に良い機会だったのではないかなと思います。
原田:図録的な本もスイスのラースミュラーから出ていて、それぞれの作品が解説とともに紹介されていたり、英語にはなってしまいますが杖の歴史や社会・文化的な背景に関するテキストがあったりして、それ自体が面白い読み物になっていると思うので、興味がある方はその辺も調べてみていただけるといいかなと思います。
いま見られる展示もご紹介
原田:ここまでご紹介してきた展示は残念ながらほとんどが終わってしまっているのですが、DESIGNARTのInstagramでは出展者の大半のインタビューが出ていて、作品の話とヴィジュアルが紹介されているので、興味がある方はこの辺も見られるともう少し情報が得られると思います。
あとはせっかくなので、配信のタイミングでまだ見られる展示もご紹介します。原宿のSeiko Seedで行われている「からくりの森」という展示が、12月8日まで開催されています。この展示は今年で3回目になるんでしたっけ?
山田:そうですね。定期的にやられている展示で、SEIKOさんなので機械式時計の駆動やメカニズムを活かしてインスタレーションをつくるということをされていて、毎回動きのあるユニークな展示になっています。
原田:今回も外部のクリエイターの方とコラボレーションして、それぞれの視点で時計や時というものを解釈してつくられたインスタレーションがあるのですが、背景情報がなくてもシンプルに見て楽しめる展示になっているので、行ってみると色んな発見や楽しみがあるかなと思います。
また、21_21 DESIGN SIGHTで2025年1月26日まで「ゴミうんち展」という、タイトルからして何だそれ? という展示が行われています。先ほどもお話したサステナビリティやサーキュラー、循環みたいなものが中心の展示になっていて、「ゴミ」や「うんち」というのはこれまで見たくないものとして扱われてきた存在のメタファーになっています。そういった世界の循環を色々なクリエイターが考えてみたという展示で、会期も長いのでぜひ行ってみてください。
山田:隣のGALLERY 3では、ロナン・ブルレックの展示も行われています。HOMME PLISSÉ ISSEY MIYAKEがいま展開しているコレクションで、ロナンのドローイングを使って服づくりをしているのですが、その過程が結構詳細に公開されています。どういう風に彼のドローイングを再現するのかというところで、刺繍みたいなものもあれば、版を10版くらい重ねた印刷というか染色なのですが、残っている版も少し展示されていたりします。彼のドローイングは非常に複雑な色で描かれているのですが、それをどういう風に落とし込むのかというものづくりを赤裸々に公開していて、非常に面白い展示になっています。GALLERY 3では珍しくほぼ1ヶ月間開催されていますし、非常に実力を伴ったデザイナーなので、彼の世界を見るという意味で非常に良いプログラムだと思います。
原田:ぜひ併せてチェックしてみてください。ビジュアルがない音声メディアの難しさと、会期が終わっているものが多いということもあり、どこまで伝え切れたかちょっとわからないですが、概要欄にもできる限り情報を見られるリンクなどを紹介しておきますので、興味があるものをぜひチェックしてみてください。
次回もデザインウィーク関連の企画をお届けしたいと思っています。今日も僕らがご紹介した若手インハウスデザイナーの方々2組に登場していただきます。NOMADIC COLLECTIVEから品川 及さんと、TIERS GALLERYで展示をされていたHOJO AKIRAさんの2人に、対談という形で出て頂こうと思っていますので、こちらもぜひ楽しみにお待ち下さい。今日はありがとうございました。
山田:どうもありがとうございました。
最後までお読み頂きありがとうございました。
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